いびきは、本人が自覚しにくく、家族やパートナー、友人から指摘されて気付く方も多いでしょう。
近年では、睡眠時に呼吸が止まる病気「睡眠時無呼吸症候群」の認知度も上がったため、いびきの危険性を認識し、治療を検討する方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はいびきの主な治療法について紹介します。
いびきの原因や種類などの情報もチェックし、自分に合った治療法を選びましょう。
いびきには種類がある
いびきは、主に単純いびき、睡眠時無呼吸症候群、上気道抵抗症候群の3種類に分かれます。
単純いびきとは、呼吸が止まったり呼吸しにくかったりといったことはなく、数日に1回、もしくはごく稀に出るいびきを指します。
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に10秒以上呼吸をしない状態が1時間に5回、もしくは7時間睡眠のうち30回以上起こる状態です。
本人は無呼吸を自覚していなくても、朝起きるのがつらい、昼間眠くなる、疲れやすいといった症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
上気道抵抗症候群は、上気道が狭くなり呼吸をしにくいため、睡眠時無呼吸症候群と同様に昼間に眠くなったり疲れやすかったりといった症状が起こります。
自分がどのようないびきをかいているのか、いびきの種類を確認しましょう。
いびきの主な原因
いびきは、生活習慣の乱れが原因になってなる可能性があることがあります。
日頃の生活習慣を見直して、当てはまるものがあれば改善しましょう。
肥満
肥満体型の方は、首の周辺に脂肪がついており気道が狭くなるため、空気が通りにくく、いびきをかくことが多いです。
二重顎は舌の筋肉が低下している証拠でもあり、寝ている間に舌が喉の奥に入って気道が塞がれ、いびきをかきます。
また、生まれつき舌が厚い場合も、気道が妨げられていびきをかくことがあります。
飲酒
就寝前にアルコールを飲むと、舌の筋肉が緩んで舌を支えられなくなるため、気道が塞がれていびきをかくことがあります。
さらに、アルコールで血流が良くなると鼻が詰まるため、大きないびきをかきやすくなります。
口呼吸
口呼吸をしていると顎が下がっている状態になり、舌を支えるための筋力が低下します。
そのため、舌が喉の奥に入り、いびきをかきやすくなります。
また、口呼吸はウイルスに感染しやすくなる、口腔内に雑菌が繁殖して口臭が強くなるなど様々なデメリットがあります。
いびきの原因になること以外にも、健康に悪影響を及ぼすことが多いです。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎や風邪で鼻が詰まっていると、寝ている間も口呼吸になります。
そのため、気道が塞がれ、いびきをかくことが多いです。
仰向けで寝る
仰向けで寝ると、舌が落ちるため気道が狭くなり、いびきをかきやすいことが特徴です。
顎の大きさ
顎が小さい場合、顎の中に舌が収まりません。
そのため、仰向けで寝た際に舌が落ちて気道が狭くなり、いびきをかくことにつながります。
老化
加齢により全身の筋肉が衰えると、舌を支える筋肉や喉の筋肉が衰えてきます。
そのため、気道が狭くなったり、口蓋垂や軟口蓋が震え易くなったりすることでいびきをかきやすくなります。
ストレス
精神的なストレスが溜まっていると、上気道の筋力が低下し、喉の奥に舌が落ちます。
さらに、人間の体は疲れを感じると酵素を取り込もうとするため、より口呼吸をする頻度が高くなります。
口蓋垂の大きさ
就寝中、口蓋垂が振動することによって音が出ていびきをかきます。
そのため、生まれつき口蓋垂が大きいと気道が塞がり、いびきをかきやすくなります。
薬剤
筋肉の緊張をほぐす成分が含まれる精神安定剤や睡眠薬を使用すると、舌を支える筋肉も緩みます。
そのため、仰向けで寝た際に気道が狭くなり、いびきをかくことがあります。
自分に合ったいびき治療を選ぶことが重要
自分のいびきがどのような状態かを知り、治療の必要があるのかどうか明確にすることが大切です。
特に睡眠時無呼吸症候群は、長期間の治療が必要になるケースが多いです。
そのため、治療開始前に自分のいびきがどの程度の症状を理解しておくことや、治療する必要性を専門医と話し合う必要があります。
さらに、家族やパートナーにもいびきの治療の重要性を理解してもらう必要があるでしょう。
いびきの治療法には症状を軽減させる対症療法と、いびきの原因を根本的に解消するための根治療法の2種類があり、症状から必要な治療を選ぶ必要があります。
どちらの治療方法が良いというわけではなく、いびきがどの程度か、いびきの原因は何かに合わせて治療方法を選ぶことが大切です。
いびきの治療方法と種類
対症療法、根治療法など、主な対症療法や治療法を紹介します。
CPAP療法
CPAP療法は、国内や海外で非常に多く取り入れられています。
睡眠時無呼吸症候群の方に最適な治療方法といわれており、就寝時に呼吸が止まらないよう気道に空気を送り、気道が開いた状態にしておく治療方法です。
CPAP装置は、エアチューブを設置して鼻にマスクをつけて気道に空気を送ります。
また、医療使われている機器を使用し、医師の指示に従って正しい方法で使用することが重要です。
クリニックによっては一泊だけ入院して、機器を設定するケースもあります。
CPAP装置は毎日使用するため、使用方法で不明点があった場合にはすぐにクリニックへ相談しましょう。
マウスピース
軽度のいびきの場合は、マウスピースを使用することもあります。マウスピースは上顎よりも下顎が前に出るように固定することで上気道を拡張し、いびきを予防する治療方法です。
マウスピースの作成経験が多く、口腔内装に関して詳しい歯科医院に相談する方法が有効だといえるでしょう。
マウスピースを装着して就寝するだけなので、「気軽にできる」というイメージを持つ方も多いですが、必ずいびきが改善されるわけではない点に注意が必要です。
マウスピースは、いびきの症状が中等症までの場合には効果を実感しやすいですが、重症の場合には十分な効果を得られないといった報告があります。
自分のいびきは軽症なのか重症なのかをしっかりと理解して、専門医と相談してから治療をしましょう。
また、保険が適用されるかどうかについても病院で相談する必要があります。
外科手術
外科的手術で、気道を塞いでいる箇所を除去する治療方法です。
いびきの原因が扁桃肥大やアデノイドの場合は、外科手術で摘出することでいびきが解消されることもあります。
軟口蓋を部分的に切除する方法もありますが、十分に治療効果を得られなかったり数年後に再発したりするケースもあるため、医師に相談して手術方法を決めましょう。
海外では上気道を拡張する手術も行われますが、国内では気道を広げる手術をできる医療機関は非常に少なく、治療を受けるのは難しい可能性が高いです。
レーザー治療
いびきの原因は、寝ている間に口蓋垂が気道を塞ぐことが原因です。レーザー治療では、口蓋垂周辺をレーザーで切って広げるため、音が出る粘膜の振動を抑える効果が期待できます。
レーザーを使用するため痛みや出血が少なく、日帰り手術も可能です。レーザー治療を受けた患者の9割に「いびきの音は改善した」といった報告がありますが、効果には個人差があります。また、肥満体型の場合にはレーザー治療だけではいびきの音が改善されないこともあります。
レーザー治療の中でも切らない方法おあります。最新の治療法パルスサーミアは「切らないいびき治療」として注目されています。切らないため痛くなく、ダウンタイムもほぼありません。何度もお休みを取る必要もありませんのでお仕事をしながらできる治療で、いびきに悩む全ての方へおすすめできます。
自分のいびきの原因に適した治療を受けよう
軽度のいびきや、いびきの原因によってはマウスピースを使用するだけでいびきが解消されることがあります。
しかし、大きないびきをかく場合や、呼吸が止まるようないびきをかく場合には、医療機関で医師の指導のもと治療を受けることが大切です。
いびきを治療する方法はいくつかあるため、いびきの専門クリニックでカウンセリングを受け、自分に合った治療方法を見つけましょう。